HAKODATE-RACING-CLUB

2021年05月10日

アニージョ (父ケープブランコ 母アニムス) ~グランデファーム見学 ローレルクラブ



アニージョ

2歳 牡馬
父 ケープブランコ
母 アニムス
母父 ゴールドアリュール
美浦 畠山吉宏厩舎
生産 グランデファーム
2019年4月4日生

今回紹介するのはローレルクラブでの新規出資馬。現3歳世代ではドナテッラを持っていましたが、さすがに3走目で見切りを付け損切り、一旦退会~温めていたこのアニムスの19年産駒アニージョでの再入会となりました。元々ローレルクラブでは期待していたサマーバード産駒のフルトベングラーで入会していましたが、怪我により2戦で引退。なんとかサマーバードの血は繋いでいって欲しいとそこは願っています。

渋い1頭。アニージョ この馬でローレルクラブでの初勝利を狙います。
4月に公開されたBTCダートでの追い切り動画の動きは絶品。体幹がしっかりして、軸がドンと座った回転のいい走り。こういった動きの良い馬を探してました。長くなりますが紹介します。


募集当初の写真 2020年6月撮影

2020年8月12日 募集馬リポート
立ち写真では、父ケープブランコよりも、ダートで活躍した母の父ゴールドアリュールの特徴を色濃く受け継いでいるように見えた。その撮影からわずか1カ月にして、首から肩にかけての肉付きが目覚ましく、今後は鍛えるごとにケープブランコに似てくるのではと思わせる。特に放牧地を疾駆する際に浮かび上がる前駆の筋肉の動きが出色だ。狂いのない四肢から発揮される弾むようなフォームは前肢のかき込みが力強く、素晴らしい加速を見せてくれた。強靭なバネを感じさせる迫力の走りで僚馬と抜きつ抜かれつ切磋琢磨している様からは、パワーとスピードを兼ね備えている事が伝わってくる。母アニムスは不出走ながら、1997年の欧州最優秀古馬ピルサドスキーや、2002年のJRA最優秀3歳牝馬ファインモーションなどの活躍馬を多数輩出しているファミリー出身の血統馬だ。その母に2011年の米最優秀芝牡馬となった父が配合されて生まれた本馬が、今後どのような成長を見せてくれるのか、大きな期待を込めて注目していきたい。




この当時の動画を観て、「前脚がよく伸びてストライドが大きい。良い」 とチェック。小さい写真ですが次の写真に注目してください


右の写真。写真は小さいながらも、ここに映し出されたこのアニムス19の立ち姿、馬体に 「これはちょっと違う馬かも」と感じました。この時期(1歳7月)ですからね。「育成に入ってから、動かしてどれだけ動ける馬なのか」と楽しみにしてました。

2020年9月 解説
本馬の父ケープブランコは大種牡馬ガリレオの直仔で、ヨーロッパとアメリカで芝のG1を5つ勝利している、ボリューミーながら健全でバランスの取れた馬体の持ち主です。ガリレオ直仔は日本では欧州ほど活躍していませんが、孫の代になるとモズアスコットやソウルスターリングなど、サンデーサイレンス系では出せないパワフルな一流馬を輩出しています。本馬はそのガリレオ由来の名牝Specialのクロスを持ちます。本邦でもアーモンドアイ、サートゥルナーリアなど、その血を複数引き継いだ馬がチャンピオンになっており、非常に強いパワーを伝えています。また、母のアニムスは大レースに強いミルリーフのクロスを幾つも持つ本格派です。欧州G1戦線の主役であるエネイブルやガイヤースもガリレオとミルリーフの血を持っているように、この配合は今や頂点を狙うにはマストなのです。馬体に着目すると、首から肩のラインの発達が素晴らしく、整った四肢を持ち、弩級のストライドを披露してくれています。ファミリーには欧州最優秀古馬ピルサドスキー、ファインモーションと大物がずらり。


2020年11月撮影

2020年11月11日 育成情報
浦河町のグランデファーム分場にて昼夜放牧を行なっています。
本馬の血統面について「配合にはSpecialの牝馬クロスを施しており、これは凱旋門賞馬ソットサスや今年の全欧年度代表馬候補のラヴと共通するクロスです。本馬も芝の大レース向きの配合であると確信を深めています」と、自信に満ち溢れた様子で話してくれました。測尺は体高160cm(+1)・胸囲183cm(+1)・管囲21cm、馬体重は505kg(±0)です。

2020年12月10日 育成情報
浦河町のグランデファーム分場では昼夜放牧を行ないました。社長の息子さんは「全兄グランデルカクは育成時からとても大きい馬でしたが、それに比べるとひと回り小さくて俊敏な動きをします。それでも平均より大きくて身体がしっかりとしていますね。兄は当歳時に転倒して腰を傷めた影響がずっと残っていたため大成はしませんでしたが、それでもダートの新馬を勝ってくれました。この仔には兄以上に頑張ってほしいです」と期待を寄せています。その後に同町のグランデファーム本場へ移動して、スムーズにブレーキング等の初期馴致を終了。それからは場内の角馬場にて騎乗調教でハミ受け等のコンタクトを学習させ、BTCでの騎乗調教を開始しています。社長によると「すでに背中もしっかりとしていますし、常歩でも踏み込みが力強いですよ。走りにブレが少ないですし、騎乗者の扶助にも従順です」との事です。測尺は体高161cm(+1)・胸囲183cm(±0)・管囲21cm、馬体重は504kg(-1)。


2021年1月撮影

2021年2月1日 育成情報
浦河町のグランデファーム本場にて、BTC内の屋内ダートコース1800mと坂路1本を20秒ペースのキャンター調教を行ない、社長は「昨年末までは、場内の角馬場での基礎運動でハミ受けや扶助に対する動きの学習と基礎体力作りを行なってきました。年明けにBTCへ入り始めてからすでに坂路で時計を出しており、調教ペースを上げていける体力がありますので、これからどんどん進めていきたいと思います」とコメント。その後は徐々にペースを上げてBTC内の屋内坂路2本を16秒ペースのキャンター調教を行なっています。社長によると「利口で鞍上の扶助にしっかりと従うが、まだ闘争心は出ていないので、併せ馬でその気にさせてやる気を出させている段階です。でも、気持ちのスイッチが入ればピッと雰囲気が変わるところがあるので、顔つきを見ての通りボケーッとした馬ではありません」との事です。測尺は体高162cm(±0)・胸囲184cm(±0)・管囲21cm、馬体重は508kg(-2)。


2021年2月撮影

2021年2月2日【 募集馬スペシャルレポート】
今月、本稿の主役を務めるのはアニムス19。調教取材に先立ち、本馬の生産者にして自ら育成を行なっているグランデファームの衣斐浩社長にお話をうかがった。「この仔が生まれる時は大変でした。身体が大きかったため、母がいきんでもいきんでも出てこず、出産までかなりの時間がかかったのです。母はその時の疲労度がかなり大きくて体力を消耗しましたし、子宮にも相当な負担がかかってしまったようで、その年はなかなか種付けができなかったし、結局は止まらなかったのです。幸い、翌年は何とか受胎してくれましたが、この仔には母が空胎となってしまった分も含めて大きな期待を持っているし、私の望みをかなえてくれるような馬に成長しつつあると感じています」と当時を振り返って語る。

そんなグランデファーム社長は、血統に深い造詣を持ち、独自の配合理論を提唱していることでつとに有名だ。まずは、血統についての持論をうかがってみた。「私が長年考えてきた理論を駆使し、毎年夢を持って配合相手を検討しています。同じ配合をしても同じ馬が生まれる事はないのは承知していますが、配合とはいわば馬の設計図のようなもので、生まれる前から『こういう馬を作りたい』という明確なイメージを描きつつ考えているのです。長年にわたって配合検討に携わってきましたが、これまでにマチカネフクキタル、ウイングアロー、サウンドスカイ、レーヌミノル、ワイドファラオがG1/JPN1を制してくれました。さらに、本馬と同じ父ケープブランコの産駒ランスオブプラーナ、2020年はワイドファラオ、エーポス、サウンドキアラが重賞制覇を遂げています」と、そうそうたる活躍馬の配合に関与してきた実績をこともなげに話す。

これだけの結果を出し続けている配合理論は、どのようにして生まれたのだろうか。「血統については、16歳の頃からなので、かれこれ50年近く勉強し続けています。私は厩務員の息子として生まれ、高校時代から笠松競馬場で調教をつけながら通学する毎日を送りました。母の親は馬主をしていましたが、なかなか成績が出ませんでした。なんとか走る馬を持たせたいと思っていた時に、獣医師の松本思郎さんから『海外で良績を挙げているNative Dancerはどうやってできているか判るか?』と血統配合について聞かされたのをきっかけに興味を持ち、血統の勉強を始めて今日に至ります。その後にもメジロアサマやサクラショウリ、シンボリルドルフの父パーソロンなど、多くの名馬について配合を調べました」と社長が教えてくれた。

ご自身の生い立ちと血統に対する興味を持つに至ったきっかけを興味深く聞くうち、いよいよ本馬の母であるアニムスの血統背景へと話題が移る。「アニムスの母ヒシアニマの配合が気に入って、この只者ではない血統の繁殖牝馬を所有者さんから無理を言ってトレードしてもらったのです。そのきっかけが、『パーソロンはどうやってできているか』に関係しています。ヒシアニマの父Sinndarは、モンジューを破って凱旋門賞馬になった馬で、とても魅力的でした。Sinndarの血統背景をひも解き、すべての説明を文章にするにはスペースが足りないと思うので、概要だけでも…」という社長のお話をまとめてみた。

Sinndarとパーソロンは近代のサラブレッド血統に大きな影響力を持っている同じ母系の出身です。Sinndarの5代母は2×2の強烈な全姉妹クロスを持っており(図1)、パーソロンの祖母(図2)とほぼ同じ血統構成になる。さらにパーソロンの曾祖父Djebel(その父Tourbillon)はSinndarの3代母の曾祖父である事から、パーソロン(図2)とSinndarの3代母Stoyana(図1)も同じような配合になっているのだ。この強烈なクロスを持つパーソロンやSinndarの血統は、たとえクロスさせなくても存在するだけで、とてつもない大物を出してくるそうだ。さらに、Sinndarの母の祖父Mill Reefの父Never Bendの母Lalun(Mill Reefの父母)の父Djeddahは、図3のようにDjebel×Djezimaで、こちらも全姉妹クロス3×4の絶妙なクロスが入っており、Sinndarの母は『Djebel-Tourbillon-Durban-Durbar×Banshee、Djezima-Asterus×Heldifann-Durbar×Banshee』の多重クロスを持っている。Sinndarがヒシアニマの母アニマ2と出会う事でMill Reefがクロスされ、ケープブランコの祖父Sadler’s Wellsの母父Bold Reasonの母Lalunと出会って、再び上記『 』の多重クロスが増幅され、爆発的に走る産駒が誕生する確率が高くなるのだという。

まさにサラブレッドの歴史を感じさせる特別な配合が、偶然ではなく理論的に行なわれている。「血統オタク」にとってはゾクゾクするほどすごい内容で、前置きされた「概要だけでも…」という言葉は、どこに行ってしまったかというほど、話に熱が入った。あまり血統に詳しくない読者のためにも、「ヒシアニマからは現役4勝馬のバーンスター、近親からはピルサドスキーやファインモーションのG1馬が出ています。Sinndar産駒のターキーからは3勝馬スペチアーレ、ムーンライトダンスからは6勝馬ムーンリットレイクや現役3勝馬ヒュッゲなど、日本での数少ないSinndarの血から活躍馬を輩出しています」と、本邦成績を解説してくれた。

また、アニムス19の父であるケープブランコについて、「Sadler’s Wells系でカーネギーに似た配合の個性があり、種牡馬としても母の父としても価値が高いと考えています。ただ、その価値を見出せないままで時が経過してしまっている。ですが、私の配合論からすれば、きっと成功すると信じています」と熱く語る。新馬勝ちを決めた兄グランデルカクや、配合に携わり毎日杯(G3)を制したランスオブプラーナ以上の期待をアニムス19には持っているのだ。

続いて話題となったのは、Specialの母系クロスだ。「今、世界で一番走っている配合といっても過言ではないのが“Specialクロス”です。血統表を見ていて見つけた瞬間に私が◎を打ってしまうクロスであり、日本ではエルコンドルパサーがSpecialクロスを持つ活躍馬の始まりだったと記憶しています。近年ではサートゥルナーリア、リオンディーズ、レッツゴードンキ、ゴールドドリーム、デアリングタクトなど、日本でもG1馬がこのクロスを持っています。それ以上に欧州で怒涛の勢いを見せており、Galileoからは英二冠馬でG1を4勝したラヴ、英ダービー馬ルーラーオブザワールド、英オークス馬フォーエヴァートゥギャザー、作年の凱旋門賞馬ソットサス(母父)が、Sadler’s Wellsからは母父としてワークフォース、欧州マイルG1を4勝したヘンリーザナビゲーター、仏二冠牝馬ディヴァインプロポーションズ、父父としてキャメロットなど、GalileoやSadler’s WellsでのSpecialクロスは、2000年代に入ってからはG1馬を出さない年はないのではないかというほどです」とのこと。アニムス19の五代血統表にあるSpecialのクロスにも、ぜひご注目いただきたい。

「配合を考慮する際は、いつも『フランス凱旋門賞を勝てる馬を作りたい』という夢を持って、常にクラシックディスタンス向きの配合を行なっています。これまで会員さんの期待に応えられないことも多々ありましたが、ローレルクラブからの凱旋門賞挑戦を真剣に夢見て、日々努力をしています。そんな大きなことを、と言われるかもしれませんが、世界チャンピオンホースを作るのが目標なのです。また、熟慮の末に選んだ配合は必ず2回以上繰り返し、1回だけで見切りをつけることはありません。シンボリルドルフだってキタサンブラックだって、全きょうだいでも走らないことがあるのですから。クラブ募集馬を提供するにあたり、本当に良い馬をと思っていますし、その選んだ馬を信じて、会員の皆様と夢を見るだけでなくかなえたいと思っているのです」と真剣な面持ちで語ってくれた。衣斐社長の信念と長年にわたって続けている努力を思うにつけ、その大きな夢をともに見たいと強く思った。

事前取材を終えてから数日後、グランデファーム本場にて研鑽を積むアニムス19を訪ねた。BTC内の屋内坂路を駆け登る本馬を見つめつつ、「兄グランデルカクと比べて明らかにフットワークが軽快で素軽い動きをします。今日、クラブスタッフが場内の端にある凍った地面で滑ってひっくり返っていましたが、実はグランデルカクが当歳の頃、同じように転ばしてしまい、左の腰を悪くしたのです。結局、それが影響して大成できませんでしたが、それでも将来性を感じさせる走りで新馬勝ちしてくれました。兄は重厚な馬体をしており、重たい馬場でかなり走ると期待していたのですが、この仔は兄よりはるかに馬自体の軽さがあるので、芝でも走れると思っています。大きくゆったりとしたフットワークからすると、配合の目論見通りに長めの距離が合いそうです」と話してくれた。

多数の馬主や生産者、トレセン関係者から深く信頼されて競走馬の育成や管理を任されてきたグランデファームは、調教に関しても豊富な経験則に裏打ちされた方法論や信念を持っている。「速い調教にいった時のバネを想像しながら、馬の能力を見極めていくように心がけています。でも、2~3ハロン程度のスピード調教では、その馬が持つ本当の能力は測りえないと最近は思えてきました。それでなければ、うちが育成したバビットをあの安価な値段で手放すはずがない」と苦笑する。そのバビットはわずか540万円で落札されたが、2度の重賞制覇を果たして1億1千万円超の賞金を稼ぎだしているのだ。

では、早期から馬の能力を見極めるためにはどうしたらいいのだろうかとうかがってみた。「BTCで4ハロン以上の距離でちゃんとした追い切りが行なえる大きな馬場は、屋外1600mダートトラックです。しかし、2歳春という成長段階にある馬にダートコースで4ハロン以上をフルギャロップで走らせると、馬へのダメージが大きすぎて故障してしまう可能性が高くなります。2歳馬の早期デビューが盛んなホッカイドウ競馬の門別競馬場にウッドチップ坂路コースができてから、さらに2歳戦での強さが目立ってきましたが、馬の基礎体力が必要十分ではない状況で春先にダートトラックコースのレースで走らせると、馬がガタガタになってしまってその後に活躍できなくなるというケースをよく聞きます。そんな状況を改善するために、勾配を確保した1600m以上のウッドチップ坂路コースを作ってほしいとBTCに常々要望しています。これがあれば、馬にとって安全な状態で能力を見極めきれる態勢になると考えているからです。そうすれば、グランデファームから提供するローレルクラブへの募集馬は、ある一定以上のレベルまで成績が上げられるはずです。当社の経営方針のひとつに『馬を通じて社会に貢献し、喜びと感動を分かち合います』と掲げているように、会員の皆様に喜んでもらえるようになるだろうと考えます」という社長の答に驚かされた。確かに、馬は競馬場で実際に走ってみなければ能力は判らないという関係者の言葉をよく耳にする。それを覆す方策を実際に提言したのだ。

「そんなわけで、現段階でのアニムス19の能力判断は、私の“勘”の部分が多いです。それでも、全体的な雰囲気、顔つきやピリッとした眼つき、歩き方や走り方などから見て、走らない馬ではないはずだと思っています。2019年産馬については、これまでの調教方法とは少しやり方を変え、1歳のうちは場内の広い角馬場でしっかりと基礎を作りました。走るペースは遅くてもしっかりと体力も付いているので、年明け早々からBTCの屋内ウッドチップ坂路2本を20秒程度で軽く足慣らしを始め、1月下旬にはすでに15-15近くまで進んでいます。走りの雰囲気も良いし、利口で鞍上によく従いますが、まだ闘争心は出ていないので、併せ馬でやる気を出させている段階です」と社長は話す。

育成方法に加えて、飼養管理にも心をくだいているという。「うちで食べさせている飼葉は、日本の大手牧場の栄養管理を担当しているアメリカの馬栄養学者デュレン博士の指導を受けています。育成馬は当然として、母の胎内にいる時から生産馬の栄養管理を行なっているわけです。そのおかげもあって、骨がしっかりとした仔が生まれていますし、母馬もどえらい元気(笑)。気に入った血統の繁殖牝馬をよその牧場から購入して生産する場合も、購入以前とは違う仔出しになってくれていると思うので、これからがとても楽しみです。毎日、自分で全馬のボディーチェックを行なって飼葉の内容や量などを調整してきている成果を、早く皆さんにお見せしたいです。そういう馬づくりをしています」と語る表情は、自信に満ち溢れていた。

グランデファームは冬季の夜間放牧なども積極的に取り組んでおり、走る馬を作るための研究と努力を続けているが、兄のグランデルカクのようにそれゆえの事故で馬を駄目にしたこともあるという。デビューを目指す多くの馬たちがさまざまなリスクを抱えながらも日々鍛えられている。そんな状況下でも「無事これ名馬」という菊池寛の造語のように、大きな故障や頓挫なく育つのは、「名馬」なのだ。衣斐社長の「走る馬というのは、多かれ少なかれ良い運勢を持っていると感じます。この仔がここまで順調にきているだけでも、すでに良い運を持っていますし、ローレルクラブさんとの縁をいただけたのも運です。その縁と良運を大事にしながら、このまま進んでいきたいと思います」という言葉に深くうなずいた。これからも本馬の持つ運を信じて応援し、ともに夢を見ていきたい。

長文ですが、私自身コーヒーを飲みながら何度も何度も読み返したこのスペシャルレポート。
本文中にある 「日本ではエルコンドルパサーがSpecialクロスを持つ活躍馬の始まり」 という部分。今でも自宅に大切に保管している名馬物語という競馬雑誌。記憶が蘇りました。
アニージョの血統に重なるSpecialの血。このSpecialの母がThong。
エルコンドルパサーのオーナーが、このThongの血が大好きで、Thongの血が幾重にも重なった繁殖牝馬サドラーズギャルを執念で購入するところから、あのエルコンドルパサーの物語が始まります。
このスペシャルレポートからもグランデファーム社長の熱意が伝わりますね。



2021年3月撮影

2021年3月1日 育成情報
浦河町のグランデファーム本場にて、BTC内の屋内坂路2本を16秒ペースのキャンター調教を行ないました。社長は「全兄のグランデルカクはダート戦で新馬勝ちを挙げていますが、その兄と比べて明らかにフットワークが軽快です。坂路でペースを上げると前肢がスッと前に伸びてくるフォームになり、とても素軽い動きをするので芝でも走れると思っています」と分析。続いて15-15にペースを上げたキャンター調教を行ない、社長は「併せ馬での調教を進めるうちに、走る気持ちが表面に出てきています。まだ単走の時はフワッとしますが、併せるとかなりその気を出してきています」と評しています。その後、社長が「調教負荷を高めている事で、前肢蹄の減りが目立ってきました。前肢装蹄を実施してから、慣らし運動を行ない、坂路調教を再開しています」と話すように、前肢への装蹄を済ませてトレーニングを重ねています。測尺は体高162cm(±0)・胸囲181cm(-3)・管囲21cm、馬体重は492kg(-16)。


2021年3月撮影

2021年4月1日 育成情報
浦河町のグランデファーム本場にて、BTC内の屋内坂路2本を13-13の調教を行ないました。社長によると「速い調教に進めると、さらに気合いが乗ってきましたよ。抑えきれない手応えで、坂上まで駆け上がってきます。骨太で頑丈な馬ですし、これからもどんどん攻めていけるでしょうから、もうすぐ開場する屋外ダートコースでの動き次第では、夏競馬を目指したいと思っています」との事です。スタッフも「現時点で申し分のない動きができています。身体を見ると少し固めの動きをする馬かと思いますが、スピードを上げれば上げるほどストライドが大きくなって、身体の伸縮を感じる事ができます。これは! と思わせる動きをしてくれています」と高く評価。「普段は堂々として無駄な事はしないタイプですが、調教ではピリッとした走りを見せています。この前は鞍上が持っていかれてしまい、3ハロンを12秒台で坂路を上がってしまいました。でも、負荷の軽いウッド坂路を走りきる体力は十分に付いているので心配ありません。屋外馬場が来週から開くので、北海道開催でのデビューを目指して次段階の調教に進めていきます」とスタッフが話すように、その後はBTC内の屋外ダートコース3200mを18秒ペースのキャンター調教を行なっています。測尺は体高162cm(±0)・胸囲184cm(+3)・管囲21.5cm、馬体重は501kg(+9)。

4月6日 育成馬情報
この中間はBTC内の屋外ダートコース3200mを15-15のキャンター調教を行なっています。
グランデファームスタッフ
「広い屋外馬場に出して、追い切りに向けた調整を行なっていますが、動きがどんどん良くなってきているね。5月に行なわれるトレーニングセールへの上場馬と併せて一杯に追い切る予定です」

4月13日 育成馬情報
この中間はBTC内の屋外ダートコース1600mで追い切りを行なっています。
グランデファームスタッフ
「ラスト1ハロンだけですが、一杯の追い切りを行ないました。初追い切りで10.6秒はなかなかの好タイムですし、併せた馬を相手にしませんでしたね。かなり乗り味が良かったし、ちょっとどころではない楽しみがあります」


2021年4月撮影

4月20日 育成馬情報
この中間はBTC内の屋外ダートコース3200mまたは屋内坂路2本を13-13の調教を行なっています。
グランデファームスタッフ
「強い調教を重ねても身体を減らすどころか増えてきており、基礎体力は太鼓判を押せる状態です。函館の芝中距離戦でのデビューを目標に、3ハロンからの追い切りの動きを見て、畠山先生と打ち合わせを行ないます」

4月27日 育成馬情報
この中間はBTC内の屋外ダートコース3200mまたは屋内坂路2本を12-12の調教を行なっています。
馬体重511kg 体高163cm 胸囲186cm 管囲21.5cm


5月3日 グランデファーム見学



闘魂注入



全休日明けの運動前ということで元気いっぱいのアニージョ



実際にアニージョに跨る乗り役さんと雑談


5月6日 育成馬情報
引き続きBTC内の屋外ダートコース3200mまたは屋内坂路2本を12-12の調教を行なっており、近日中に美浦トレセン・畠山厩舎へ入厩する予定となりました。

グランデファーム社長
「坂路での追い切りでは調教駆けする馬たちと併せ馬を行なっていますが、手応えに余裕があるままで楽に先着できるほど動きますね。追えば追うほど、どこまでも行ってしまいそうな感じです。函館か東京の芝中距離戦でのデビューを目標にして、強いディープ産駒にぶつけてみてほしいと畠山先生に頼んでおきました」

コレよ!この強気が素敵だわ。社長。
見学当日も、「5日過ぎに直接入厩させる。初戦からディープ産駒とぶつける」と気合が入ってましたが、しっかりと情報として公開されていますね。社長には「函館の旨い寿司屋教えてくれ」とせがまれましたが、教えた店名しっかり覚えてますか?寿司屋のはなしはさておき、大手牧場の超良血馬たちを相手にするには、このくらい強気じゃなきゃね。半分はリップサービスとしても、これだけ吹いてくれると、読んだその気分だけである程度、楽しみの部分として償却になりますから、この先も順調ならもっと吹きまくってくれればわたくし喜びます。もちろん結果も伴ってくれれば上等。
この気合に応えるべく当初1口の予定が、こちらも気合の2口目。渋いところが大いに素敵も、速いところにいってのストライドは豪快かつ正確。携わる関係者すべての熱い想いを乗せて、とにかく活躍して欲しい馬です。
渋~い種牡馬ケープブランコ産駒のアニージョの紹介・牧場見学でした。


  


Posted by 函館レーシングクラブ代表 at 19:03牧場見学アニージョ

2019年08月17日

ドリームオブジェニーの18 (父ディープインパクト) ~谷川牧場見学 ~一口話


ターファイトクラブ出資馬

ドリームオブジェニーの18

牡馬
父 ディープインパクト
母 ドリームオブジェニー
母父 Pivotal
栗東 高野友和厩舎
生産 谷川牧場
2018年3月27日生

"あの馬"
ファンディーナの全弟となる
母ドリームオブジェニーの6番仔



ちょうど1年振りの再会


2018年8月12日(当歳時) 谷川牧場にて

ファンディーナ、レヴドゥギャルソンよりも小振りではありますが
半兄レヴドゥギャルソンよりも背中が短く
ディープらしさが窺えます



顔つきも凛々しくいい感じです。
管に手のひらを回してみましたが
回り切らず管囲は優に20㎝以上、しっかりしてます。





個人的には
もしかしたら母の1番馬ではないかと期待する1歳馬
1年経ってしっかりと成長しています。





谷川社長との会話の中で
兄姉に比べあまり大きくならない(だろうと思われる)分
この仔は早目の始動も可能ではないかと

種馬になれるような活躍を期待しています。

といった期待を知ってか知らずか

彼も練習中





今後も無事に成長して立派な競走馬に育ちますように





桃色の勝負服が
2021年5月末の府中のターフに立っていることを願ってます

ドリームオブジェニーの18 2018年8月 谷川牧場見学記事


母ドリームオブジェニーはロードカナロアを受胎(当歳はキングカメハメハの牡馬)

ドリームオブジェニー


ファンディーナはカナロアが間に合わず、ハービンジャーを受胎中。

ファンディーナ

夢は続いて行きそうです。

ファンディーナ 2018年4月 谷川牧場見学時記事
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Posted by 函館レーシングクラブ代表 at 09:07牧場見学レアリサンド

2019年08月16日

ウインリベルタ (父スクリーンヒーロー)~コスモヴューファーム見学


ウインレーシングクラブ 出資馬

ウインリベルタ

牡馬
父 スクリーンヒーロー
母 フリーヴァケイション
母父 Fly So Free
笠松 尾島徹厩舎

8月16日近況
北海道・新冠のコスモヴューファームにて調整中。坂路をキャンターで2本というメニューを消化しています。
担当者
「今週も坂路で追い切りを行い、3F44秒台の時計をマークしています。もう歩様等の脚元の不安もなく、動きもひと追いごとに良くなっていますが、まだ満足のいくレベルの動きではありません。それでも、あと1、2本追い切れば態勢は整いそうですし、今月下旬の入厩を目指してこのまま進めていきます」

中央競馬で3戦(10着、6着、5着)後に登録を抹消
今後は笠松競馬 尾島徹厩舎所属で
中央復帰を目指すウインリベルタ
もう少しパンとしてくれば
直ぐに戻ってこれる馬だと思ってます。



リベルタともちょうど1年ぶりの再会









今月下旬の移動予定ということですが
しっかりと英気を養って移動に備えてくれれば

リベルタを信じて待ちたいと思います。

ウインリベルタ 他~2018年8月 コスモヴューファーム見学時記事
  


Posted by 函館レーシングクラブ代表 at 22:03牧場見学

2019年08月16日

ウインメテオーラ (父ロージズインメイ)~コスモヴューファーム見学


ウインレーシングクラブ 出資馬

ウインメテオーラ


騙馬
父 ロージズインメイ
母 マイネチリペッパー
母父 ネオユニヴァース
美浦 金成貴史厩舎

8月16日近況
北海道・新冠のコスモヴューファームにて調整中。昼夜放牧を消化しています。
担当者
「涼しくなる日もあるため、馬体は徐々に回復してきました。ただ、まだふっくらとは言えない体つきですし、乗り出すとすぐに減ってしまうタイプなので、もう少し余裕がが出てきてほしいところです」



6月30日の函館戦は出張先から駆け付けるも
ちょっとだけ足りず口取りさせてくれなかった
メテオーラ君


誰や~?的な距離から








そろり、そろーりと

近づいてくれました


しっかり休んでまた元気に走ってくれますように

ウインメテオーラ,ウインプラウド他~2018年4月 コスモヴューファーム見学記事

  


Posted by 函館レーシングクラブ代表 at 22:02牧場見学

2019年08月16日

コスモチェーロの18 (父ドゥラメンテ),イクスキューズの18 (父スクリーンヒーロー)~コスモヴューファーム見学


ウインレーシングクラブ
出資1歳馬

コスモチェーロの18

牡馬
父 ドゥラメンテ
母 コスモチェーロ
母父 Fusaichi Pegasus
美浦 畠山吉宏厩舎


7月

2019年7月19日(金)
北海道・新冠のコスモヴューファームにて調整中。昼夜放牧を行っています。
6月下旬の北海道ツアー前後に急成長しており、馬っぷりの良さが光ります。人の言うこともしっかりと理解できる馬で、扱いに困ることもありませんし、あとはこのまま順調に成長してくれればと思います。

2019年8月16日(金)
北海道・新冠のコスモヴューファームにて調整中。昼夜放牧を行っています。
今は成長が一段落したタイミングで、疲れも見せ始めてきたため、体調を見ながら管理を行っています。今は馬にとって苦しい段階ですが、ここを乗り越えればさらに良くなりそうな雰囲気があります。





集牧後の時間帯だったため
あまり良い写真は撮れてませんが
すごく眼の綺麗な馬だと感じました。





ドゥラメンテの初年度産駒
遅生まれですが他の馬と遜色ない大きさ
期待しています。



イクスキューズの18

牡馬
父 スクリーンヒーロー
母 イクスキューズ
母父 ボストンハーバー
美浦 鹿戸雄一厩舎


7月

2019年7月19日(金)
北海道・新冠のコスモヴューファームにて調整中。昼夜放牧を行っています。
6月下旬の北海道ツアー後に急成長し、馬っぷりがかなり良くなった一頭です。もう小柄な印象はなく、他の馬たちと比べてもだいぶ成長が追い付いてきた感があります。この血統特有の敏感な面も今のところ見せていませんし、生まれも遅い馬なので、さらなる成長に期待しています。

2019年8月16日(金)
北海道・新冠のコスモヴューファームにて調整中。昼夜放牧を行っています。
順調に成長し、馬体がどんどん良くなってきました。体つきが良くなっている段階ですが、生まれも遅い馬ですからこの先もっと変わってくることが期待されます。ここに来てピリッとした面も見せ始めるようになってきましたが、そういったことも含めて母の特徴を受け継いでいるのだと思います。





イクスキューズの18はお疲れモード

父・母共に管理した鹿戸雄一厩舎で活躍できるよう
立派に成長してもらいたいと思います。
  


Posted by 函館レーシングクラブ代表 at 22:00牧場見学